インサイトとは、マーケティングにおいて顧客の行動(商品の購買・サービスの利用)に無意識的に影響を与える要因のことです。これは、何かを見抜くということを意味する「洞察」(英語で書くと「Insight」)に由来します。本記事では、インサイトの利用の事例とともにその調査方法等も説明しています。
インサイトとは、マーケティングにおいて顧客の行動(商品の購買・サービスの利用)に無意識的に影響を与える要因のことです。これは、何かを見抜くということを意味する「洞察」(英語で書くと「Insight」)に由来します。また、インサイトは顧客や消費者を対象として考えていることから、マーケティング用語としては、ユーザーインサイト・消費者インサイト・顧客インサイトと呼ばれることもあります。
マーケティングにおいてユーザーのインサイトを理解しておくことは、企業側としては理由が顕在化していない消費行動の理解に繋がるため、有効なマーケティング施策の立案を行うことが可能になります。
インサイトと高頻度で同時に登場するワードとして、潜在ニーズがあります。これらのワードは度々混同されることがありますが、実際には異なる状態を表しているので注意が必要です。
人間のニーズは、大きく顕在ニーズと潜在ニーズにわけることができます。以下ではこれら二点について簡単に定義します。
顕在ニーズとは、ユーザーの意識下にある欲求のことです。ユーザーは顕在ニーズに関しては自覚しているので、これを満たせるような行動をします。また、欲求が明確になっているため、企業側も顕在ニーズについては把握しやすいです。
例えば、ある人が健康のために自転車通勤に切り替えたいとします。健康のためというはユーザーが意識していることなので、顕在ニーズだと考えられます。
潜在ニーズとは、ユーザーの意識下にない欲求のことです。ユーザーは潜在ニーズに関しては自覚していないので、顕在ニーズの時とは異なり企業側も欲求の把握が困難です。しかし、潜在ニーズも何かのきっかけで意識下に浮上すると顕在ニーズへと変化します。
例えば、前述の健康のために自転車通勤に切り替えたい人が、無意識化では朝に外気を浴びたいという欲求を抱いていたとします。すると、朝に外気を浴びたいというのは潜在ニーズになります。一方で、友人からの指摘でこの潜在ニーズを自覚すると、これは顕在ニーズへと変化します。
インサイトと潜在ニーズは、マーケティングに有効か否かという違いがあります。また、インサイトは潜在ニーズに対し必ずしも排他的なものではなく、時にはその影響を受けることもあります。しかし、両者とも人間の無意識の部分という面では一致しており、マーケティングという枠組みにおいて一見すると同義語に見え、度々混同されます。
例えば、かき氷屋が顧客は無意識のうちに食後の温かいお茶を欲していると考え提供したとします。その結果、売り上げが伸びたら、これはユーザーのインサイトを突いたことになります。対して、売り上げ向上に繋がらなかったら、温かいお茶の提供はインサイトではなかったということになります。ただし、潜在ニーズであった可能性はあります。
この場合におけるインサイトは温かいお茶という潜在ニーズを基にしており、インサイトと潜在ニーズが排他的でない一例となっています。
インサイトの獲得とその利用は、様々な商品のマーケティング施策を推進してきました。以下では、有名な事例を2つ紹介しています。
カリフォルニア牛乳協会は、牛乳の消費量が落ち込んでいることを受け、売り上げアップのために消費者アンケートを実施しました。アンケートの内容は、牛乳が欲しくなるシーンのについてのものであり、結果からクッキー等を食べている時に欲しくなるというユーザーインサイトを得ました。そこで、「GOT MILK?」というフレーズとともにキャンペーンを実施し、売り上げ向上に成功しました。この「GOT MILK?」キャンペーンは1993年から2014年まで続きました。
カップラーメンは、他の世代と比較しシニア層への販売に苦戦していました。しかし、調査を実施したところ、シニア層は健康的な食事に気を使っている一方で自由に美味しいものを食べたいと思っている人もいるというインサイトを得ました。そこから、健康面や材料、味等への工夫の結果、シニア層における売り上げ向上を実現することができました。
インサイト獲得のためには、定量的・定性的に消費者からの情報を集めていくことが必要となります。インタビューでは、事前に想定していなかったユーザーの意見を聞き出せることもあるので、インサイト獲得には有効に働きます。
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