本記事では、市場規模の意味や調べ方から具体的な算出方法までを解説します。
市場規模とは、「特定の市場における、年間の商取引の総額(売上)」を指します。新規事業の立ち上げや新規プロダクトの開発の際に、どれぐらいの売上が見込めるかの判断材料として、主に用いられます。
市場規模を調べる方法の一つとして、官公庁や業界団体、企業が公表している市場規模の調査レポートにあたるという方法があります。
官公庁や業界団体による市場規模のレポートの多くは、無料で提供されている一方、民間の調査会社が公表しているものは一部有料になっています。
官公庁、業界団体、民間企業ごとのレポートの特徴を把握したうえで、市場規模を調べましょう。
主に、官公庁が公表しているレポートとして、経済産業省の「工業統計調査」、財務省の「法人企業統計調査」があります。
工業統計調査では、産業ごとに、事業所数や従業者数、製造品出荷額等がわかるほか、地域別ごとにも調査結果が記載されています。
法人企業統計調査は、営利法人等を調査対象とし、売上や利益がわかる損益計算書(P/L)、資産や負債の状況がわかる賃借対象表(B/S)ベースで企業活動の実態を把握できます。
業界によっては、業界団体が市場規模のレポートを公表している場合があります。官公庁のレポートは、データを集計してから発表するまでに時間がかかることも多いです。したがって、より最新の業界動向を把握したい場合には、各業界団体のレポートも参照しましょう。
特に、自動車や建設、不動産など規模の大きい業界では、複数の業界団体が存在し、レポートを公表していることが多いです。
市場規模を調べたい場合において、民間企業のレポートにあたるという方法も考えられます。官公庁などのレポートよりも、さらに詳細な市場規模の情報が必要な際には、民間企業から購入することも検討しましょう。代表的な調査会社として、矢野経済研究所や富士経済研究所が挙げられます。両社は、他社と比較して高価格帯ではあるものの、業界のカバー領域も広く、詳細なレポートとなっています。また、官公庁や業界団体などのレポートを収集して、各産業の市場規模をビジュアライズした、市場規模マップもあります。産業ごとの市場規模を比較したい場合には、利用してみましょう。
知りたい市場規模に関するレポートがなかった場合は、公開されている情報や既知の情報を組み合わせて算出する方法があります。算出するにあたって、必要な情報が不足している場合には、民間の調査会社に依頼し、必要な情報を取得することも可能です。
まずは、主な市場規模の算出方法を確認しましょう。
需要側から算出するとは、市場において商品やサービスを購入する消費者側から市場規模を求めることを指します。
具体的には、ある市場における、顧客数と顧客1人当たりの平均単価(または、商品数と1商品当たりの平均単価)を掛け合わせることで、市場規模を求めることができます。
例えば、toCにおける普通自動車の市場規模を求める場合には、(顧客数=世帯数×年間で車を購入する割合×普通自動者の選択率)、(顧客1人当たりの平均単価=年間の普通自動車の購入数×普通自動車1台当たりのの平均単価)のように細分化することで、おおよそのあたりをつけることができます。
次に、上記の算出方法とは反対に、市場において商品やサービスを供給する企業側から市場規模を求める方法もあります。
具体的には、ある市場に参入している企業数と1企業当たりの平均の売上高を掛け合わせることで、市場規模を求めることができます。
同じく自動車産業の市場規模を例にとると、(企業数=自動車業界の従業者数÷1企業当たりの平均従業者数)と細分化することできます。このように分けることで、自動車産業の従業者数を経産省の工業統計調査から、その他の、平均従業者数や1企業当たりの平均売上高を業界団体のレポートから把握することが可能になるかもしれません。
続いて、過去の市場規模とそれに相関関係のある指標を用いることで、未来の市場規模がどのようになるのかを算出する方法も考えられます。
例えば、ニッセイアセットマネジメントが2017年に公表したコラム「景気や株価の意外な法則」では、コーヒー消費量と景気に相関があることが示唆されています。
このように、ある市場規模の予測を立てたいときに、それと相関がある指標を見つけ、算出するという方法も考えられます。
市場規模を算出するにあたって、必要な情報が公表されていない場合には、調査会社に依頼し、取得する必要があります。
当然ではありますが、調査会社ごとに、調査レポートの特徴が異なります。調査会社を選ぶ際には、コストやリードタイム、担当者の提案力などを比較して、検討しましょう。
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