株式会社Quest Research
代表取締役  南 健太

「幸せ」を模索した学生時代。人々に持続的な「幸せ」を提供するためにはビジネスがカギになると考え、経営を俯瞰的に理解することができる戦略コンサルティングの世界へ

ー Quest(現・Quest Research)創業者である南さんへのインタビューを実施させていただきたいと思います。まずは南さんの生い立ちについて教えてください

南:僕は父親が商社マンだったことから2歳から7歳までソ連(現・ロシア)に住んでいて、そこから日本に戻ってきました。中学の時までは勉強が結構出来たので、高校は地元の進学校に進学することになったんですけど、ちょうどそのタイミングで父親がイギリスへ転勤することになったんですよね。とはいえ、せっかく志望していた高校に進学できるということもあり、僕は日本に残ることにしました。日本での高校生活は楽しかったですが、高校の成績が中の下だったのでこのまま自分は何になるんだろうという漠然とした不安を抱えていました。そんな中で英語くらい話せるようになれば将来の幅が広がるのではないかと思い、高校1年の秋ごろに渡英を決断しましたね。

ー 将来の不安を感じ、渡英を決断されたんですね。渡英後はどんな学生生活を送られていたのでしょうか

南:渡英するからには何か成し遂げたいと思ったので、敢えて学年を落として中学3年生のカリキュラムからきちんと勉強することを決意しました。周りに「そんなに勉強して何になるんだ」って言われるくらいには猛勉強していましたよ(笑)。そういう経緯を経て、渡英して3年後にオックスフォード大学に進学することになりました。

ー 大学進学後、戦略コンサルティング業界に進むことを決めた契機は何だったのでしょうか

南:人が幸せになるということに興味があったので、オックスフォード大学では心理学を専攻していました。そこで色々勉強していたものの、結局「幸せ」って何なのかよくわからなかったんですよね。「幸せ」には絶対的な答えがないんだということに気づきました。そんな中で、ふとこれまで先進国で生きていたけれども、発展途上国のことは何も知らないなと思い立ち、途上国に興味を抱きました。そのような興味からケンブリッジ大学の修士課程に進学し、開発経済学を専攻したのですが、結局はビジネスだと思ったんですよね。途上国支援団体とか国際機関、NPO・NGO がいくらお金を入れたところで途上国は発展しなくて、結局は途上国の中で産業を興さないと発展しないんだということに気づきました。そこからビジネスに興味を持ち始めてコンサルティング業界を志望しましたね。元々の目的としてはそういう感じでコンサルティング業界に入ったんですよ。あとは、やりたいことがコロコロ変わる中で、色々な分野のビジネスに携われるコンサルティング業界はいいなと思っていたのもありますね。

生きたいように生きる。「幸せ」を追い求め、好きなことを仕事にして生きていくために独立・起業を決意

ー コンサルティング業界で働かれることになってからQuest 創業までの経緯について教えてください

南:大学院修了後は、新卒入社としてBooz & Company (現・ PwC 戦略部門の Strategy& )の日本支社で3年間働いていましたね。 Booz では組織改革系・グローバル系のPJ を中心に携わっていました。とはいえ、ジュニアの段階では特に専門性もなかったので色々な案件に触れていましたね。3年くらいファームにいると皆辞めてしまうこともあり、僕も転職を意識するようになりました。僕はコンサル業界には引き続き関心があり、かつ人に興味があったのでもっと色々な人と関わりたいなと思い、当時のBooz の5倍くらいの規模があったBCGに転職しました。それから、 BCG の新規事業開発部門という立て付けの BCG デジタルベンチャーズ(以下、BCGDV )に転職して、独立・起業というような感じですね。

ー 人とのかかわりに興味を持たれて、Boozから規模の大きい戦略ファームBCG に転職されたんですね。 BCG に転職されて、何か変化はありましたか

南:転職当初は苦労しましたね…(笑)。 Booz は割と自由な感じだったんですけど、 BCG はBCG 流のやり方があり、その型通りにきっちりと仕事をこなすことに慣れるまで時間がかかりました。ようやく仕事にも慣れてきてストレッチされたいなと思ったので、BCG のムンバイオフィス(インド)に1年間転籍することにしたんですけど、そこでもまた苦労しましたね…。英語はある程度対応できるんですけど、現地の文化とかスピード感についていけなくて大変でした。あるPJ では評価されるけど、ある PJ では評価されないというような感じで、自分の絶対的な能力は変わっていないはずなのに評価が変動してしまうことがあり、そこで仕事の成果っていうのは個人の能力よりもその人を取り巻く環境に左右されるのではないかと思うようになりましたね。ムンバイから日本に戻ってきたタイミングでプロジェクト・リーダーに昇格し、僕の担当していたPJ で加藤さん( Quest 創業メンバー)に出会いました(笑)

ー 同じPJで創業メンバーの加藤さんと知り合われたんですね。プロジェクト・リーダーに昇格された後は何か変化はありましたか

南:昇格すると責任が広がったので当然ではありますが、自分がやりたい仕事以外もしていくようになりました。当然会社っていうのは利益を追求していくことが存在目的の1つではありますから、それぞれが好き勝手やっていくわけにはいかないので仕方がないと思いますけど、できれば自分がやりたいことをより多くやっていけるようになったら素敵だな、と思ったんですよね(笑)。そんな中で、「自分が生きたいように生きればいいじゃないか」とか、「他人に言われてやる仕事をこなしても幸せになれないのではないか」と悶々と悩むようになりました。そういった経緯を経て、BCGの中でも比較的新しい組織の BCGDV に転籍することにしました。

ー ご自身のやりたいことをやるべく、比較的新しい組織のBCGDV に転籍されたんですね。そこから独立されたということですが、どのような経緯があったのでしょうか

南:結局は自分でやりたいことをやりたいと思うようになったことに尽きますね(笑)。BCGDV で一年半弱くらい新規事業開発を支援している中で、もっと自分の好きなようにビジネスを考えてみたいという思いが強くなっていきました。そんな時にBCGDV の社内で色々と新しい事業案を話し合う機会があったんですよね。ローストチキンを焼いたりしてワイワイ話し合うような。そこで、今の事業の原案を話したときに同僚に「こうしたら実現するんじゃないか」と助言してもらって、2018年6月ごろに独立を決意しました。その時は起業するとかは全く考えていませんでしたね。フリーランサーとして独立してみようと思った程度です。で、その同僚と一緒にサウナに行く機会があったんですけどたまたまそのサウナで初めて近藤さん(Quest 創業メンバー)に出会ったんですよ(笑)サウナで事業アイデアを話したら近藤さんが乗ってくれて、2018年の7月くらいから3ヵ月間事業案を議論し、Quest を創業することに決めました。ちなみに、小原さん( Quest 創業メンバー)は近藤さんが紹介してくれて、デザイナーとして参画していただくことになったんですよ。

みんなが「幸せ」になれる場を作りたい。Questは変化を伴いながらも、1人1人の「幸せ」が尊重される場であり続けたい

ー サウナでの出会いがきっかけで、Quest は生まれたんですね(笑)そこから現在の事業が軌道に乗りそうだなと思えたのはいつ頃だったのでしょうか

南:2019年5,6月に案件をたくさん頂けるようになって、そろそろ事業が軌道に乗りそうだなと思ったんですよね。それまではフリーランサーとして活動することが多かったんですけど、Quest としての案件が増えていったので、6月からは近藤さんと2人体制でやっていくことにしました。その後、加藤さんが2019年10月にジョインしてくれて、今の事業体制が出来上がっていった感じですね。

ー 今の事業体制が出来上がってから1年半ほど経過しましたが、今後Quest はどのような会社にしていきたいと思われているのでしょうか

南:究極的にはQuestで働く個々人が「幸せ」になれる場所を作りたいと思っていて、そのために頑張っていきたいなと思っていますね。このまま数人程度の規模で仕事をしていくのが「幸せ」かどうかは疑問だと思っていて、やっぱり仕事にちゃんと打ち込んでいくには健全な変化が必要なのかなと思っています。健全な変化を生んでいくためにビジネスは拡大路線で行きたいとは思っていますが、一方で元々の目的は見失わないようにしたいですね。例えば、自分や他人の「幸せ」を忘れて闇雲に拡大していくのは違うと思っています。他人に感謝されて売上が立つような健全な事業をしていきたいですね。会社の規模とかスケールが大きくなっていくと、そこで働く個々人は「幸せ」ではなくなってしまうことが多いんですよね。個人の幸せよりも会社の意向が重視されていってしまうので。そういうところを変えていきたいなと思っています。Quest は働いている1人1人の幸せが尊重されるような場にしていきたいですね。なので、事業内容がシフトしていくことには全く抵抗はないです。今の事業をこれまで続けてきたのは調査・リサーチ業界の負が見えていたのと、僕自身がこれまでコンサルティング業界の中でやってきていて、ある程度知見があったからという部分が大きいです。一方で、調査分析はまだ効率的ではないところも多々あると思っているので、型に落とし込んでパッケージ化するというところにも手を付けていきたいなと思っています。

ー 事業内容よりもソフトな場の雰囲気やビジョンを重視されているのですね。事業内容がシフトしていくと、会社としての北極星が見失われてしまうのかなという気もしますが、そこに対する懸念はお持ちでしょうか

南:北極星なんてものは常に変わりうると思っています。僕は単に「個々人が幸せになれる場所を作りたい」、「社会的な負をなくしていきたい」と思っているだけですね。今の社会が、あまりにも組織・団体に寄りすぎていて、個々人の幸せが考えられなくなっているところを、それぞれの幸せをちゃんと考えていける場所を創りたいなと思っています。僕はこう思っていますが、他のメンバーにも当然それぞれ想いはあるので意見が衝突することもあります。会社としてどういう方向性に行くのかはまさに議論中ですね。ただ僕はどういう方向性に行ってもいいと思っています。働く個々人が幸せであればいいので。事業内容は実はこれまでも変化してきたんですよ。最初はインタビュー設定業務だけをしていたのですが、定量調査もできるのではないかと思ったので広げていき、さらにそこから分析・コンサルティングに広がっていきました。当然これからも変化し続けていくのではないかと思っています。

ー 皆さん色々な想いを持たれてお仕事をされているのですね。これまで一緒にお仕事をされてきた創業メンバーに対してはどのような想いを持たれているのでしょうか

南:創業メンバーに対しては「とても有難いな」という気持ちしかないです。一方で、会社として目標を立てる中で一歩引いてみたときに、その人が楽しくないのであれば全然やめてしまっていいと思っています。皆さんそれぞれが非常に高い能力を持っているのにもかかわらず、僕と一緒に仕事をしてくれている以上、楽しく仕事をしていきたいんですよね。みんなが思い思いにそれぞれやりたいことをやってくれるといいなと思っています。

他者への思いやりや主体性がある人にジョインしていただきたい。Quest という場を生かして、やりたいことをやってほしい

ーQuest に対する南さんの想いが良く伝わってきました。今後 Quest にジョインしてくれる方々にはどのようなことを期待されているのでしょうか

南:これまでインターンの方も含め、皆さん人柄が良い方に来ていただいている印象があります。僕は今の状況が嬉しいので、これからジョインしていただく方も他人に対する思いやりがあったり、主体性があったりする方がいいなと思っています。そういった方と一緒に働きたいと思っているので、Quest はただお金儲けをしたい人とか、次のユニコーン企業を作るみたいな大きなことをしたい人には適していない環境だと思いますね。高い能力をもっていらっしゃる方々が僕と一緒にいてくれるのは、その人にとってQuest が自身のやりたいことを実現するに適した場だからなのではないかと思っています。僕自身そういう方の人生に対して良いインパクトを生み出したいと思っていて、事業内容が今後変化していったとしてもある程度お金がもらえる中でやりたいことができて、お互いに思いやっていけるような場にしていきたいです。給与に関しては他のコンサルティングファームと遜色ない額をお支払いできるので、Questを踏み台にしてコンサルタントになりたい方や、給料に魅力を感じてジョインしようとされる方もご興味を持たれるかもしれませんが、そういった方にはミスマッチな環境だと思います。

ー 南さんの抱かれている理想の候補者像が良く伝わってきました。やりたいことを実現する場を提供したいということでしたが、新規事業の提案をしてその事業開発に携わることもできるのでしょうか

南:もちろん会社なので個人がやりたいことだけをやるのは違うと思っていますが、Quest にとってプラスになるものであれば Welcome ですね。ご提案頂いた新規事業がちょっとでも会社にプラスになって、働いている方が生き生きしているのであればそれがいいなと思っています。

ーQuest を創業されるまでの経緯や南さんの想い、求めている候補者像についてお話いただき、ありがとうございました。最後に候補者の方へ一言お願いします

南:Questは居心地の良さに惹かれて働き続けてくれている方が多い会社だと思っているので、そういった雰囲気に共感していただける方がいれば是非ジョインしていただきたいと思いますー!

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