アンケートを実施する際には、調査票作成の段階でしっかりとした設計を行うことが成功のカギとなります。今回は、調査法に記載すべき事項をを整理した上で、調査票の入稿フォーマットもシェアさせていだたきます。
アンケートを実施する際に必要となる調査票とは、アンケート対象者に回答してもらう設問・質問やその選択肢等をまとめたものです。調査票には、設問以外にも設問種別やランダマイズ、排他制御といった点についても記載することで、アンケートが構成・内容ともに不備がないか・わかりにくくないかを確認することができます。また、調査票はExcel等で作成することが多く、完成した調査票をもとに実際のアンケート画面にその内容を落とし込んでいきます。
調査票を作る際の必要要素とその作成のコツについて以下で解説していきます。
設問文は、回答性向を大きく左右する要素ですので、問題がないか丁寧にチェックしましょう。特に、誘導的な文章や曖昧な内容、論点の複数化に注意しなければなりません。詳しくは、コラム「適切な回答を得られる質問文を作るための留意点」をご覧ください。
関連した調査項目をまとめて配置することで、回答者の負担を減らすことができます。また、アンケートを設計する側も、調査項目を分類することで、アンケートに必要な要素を整理することができます。
※「プライミング効果(1つの事柄を思い出すとそれに関連した事柄も思い出しやすくなる)」による。
設問種別は、単一選択、複数選択、自由記述、数値回答、単一/複数マトリクス、順位づけの中から選択します。設問に合わせて、適切な種類を選択しましょう。特に、自由記述については分析が困難になる場合が多いため、質問数を絞ることをおすすめします。
設問文に対応した選択肢を設定します。特に、選択肢の網羅性・相互排他性に注意しましょう。例えば、「この商品について気に入った点は何ですか」という設問に対して、「味・料金・パッケージ」という選択肢を設定すると、気に入った点がなかった人や、それ以外で気に入った点のある人を網羅できていません。「その他」や「該当なし」などを加え、網羅性を担保しましょう。また、「あなたの普段の睡眠時間を教えてください」という設問に対して、「5時間以下・5~7時間・7時間以上」などとすると、複数の選択肢に該当する人が出てきてしまいます。選択肢がそれぞれかぶっていないか、相互排他性の観点から確認するようにしましょう。
「その他」という選択肢が必要かどうか、各設問ごとに確認しましょう。その他を選択した回答者が、具体的に何を想定しているのか知りたい場合は、その他に自由記述を加えるように記載しましょう。
ランダマイズとは、回答者によって選択肢の表示順を変える設定のことです。アンケートでは、選択肢の並び順によって、選択されやすい選択肢とされにくい選択肢が生じてしまう場合があります。ランダマイズを行うかどうか、調査票の段階で明記するようにしましょう。ランダマイズの適用条件については、コラム「アンケートの作成においていつランダマイズを適用するべきか?」をご参照ください。
排他制御とは、複数選択が可能な設問において、重複のあり得ない複数の選択肢が選択されないよう制御する設定です。例えば、設問の中で、ある選択肢と「該当なし」が同時に選択されることはあり得ません。それを避けるため、「該当なし」が選択肢にある場合は、排他制御が必要な旨を記載するようにしましょう。
回答に矛盾が出ないように制御することも重要です。例えば、「あなたは携帯電話を使っていますか?」という設問で「いいえ」を選択した回答者に対して、「あなたが使っている機種は何ですか?」と聞くのは矛盾しています。このような矛盾が生じないためにも、論理的に回答できない設問はスキップされるよう、「回答対象」を絞ることで制御しましょう。
複数選択の設問で、回答の上限を制限したい場合も、調査票に明記するようにしましょう。
どの設問に対して、どのセグメントに回答してほしいかを整理しましょう。例えば、回答者の年代によって設問を変えたい場合は、それぞれの設問にどの年代に回答してほしいのかを記載します。
回答者が答えやすく、質問者も分析しやすいアンケートを作成するには、調査票の段階で細かい部分までチェックすることが大切です。今回のチェック項目を見ながら、適切なアンケートが設計できているか確認するようにしましょう。
今回の記事で紹介した項目を網羅した調査票入稿フォーマットを公開しておりますので、ご希望の方はぜひお気軽にご連絡ください。