適切な回答を得られる質問文を作るための留意点

作成日:
2020-12-22
更新日:
2021-04-28
適切な回答を得られる質問文を作るための留意点

アンケートにおいて適切な回答を得るためには、誰が読んでもわかりやすい質問文を作成しなければなりません。質問文を作成する際には、どのようなことに注意しなければならないのか、確認しましょう。

主体を明確にする

回答者自身の個人的な意見を聞く質問をパーソナル質問、世間一般を客観的に見た意見を聞く質問をインパーソナル質問といいます。例えば、「あなたは、リサイクル活動をしたいと思いますか?」という質問は個人の意向を聞いているのでパーソナル質問ですが、「あなたは、リサイクル活動は必要だと思いますか?」という質問は、世の中一般に対する意見を聞いているのでインパーソナル質問です。自分がどちらを聞きたいのか明確にし、主体を意識して質問文を作成しましょう。

論点はひとつに絞る

ひとつの質問文の中で複数の内容を問うことを「ダブルバーレル」と言います。ダブルバーレルが生じてしまうと、それぞれの回答の特徴が混濁して反映されてしまう上、回答しづらさにも繋がります。例えば、「あなたはタブレットやノートパソコンを持っていますか?」などとしてしまうと、回答者はタブレットとノートパソコンのどちらに答えていいのか迷ってしまいます。論点はひとつの質問につきひとつだけに絞り、複数問いたい場合は質問を沸けるようにしましょう。

あいまいな表現をしない

あいまいな表現があると、回答者はいい加減な回答をしてしまうことになります。「ときどき」や「東京近辺」といった表現は避け、「週1~2回」「首都圏」といった、誰にとっても明確な表現を使うようにしましょう。また、「あなたは大きい政府に賛成ですか?」のような、人によって解釈の分かれる言葉や、理解が難しい言葉も使わないようにし、誰にとっても判然とした質問文になるよう心がけましょう。

誘導的な質問をしない

質問文作成で見落としがちなのが、回答者を特定の回答に誘導するような文言です。4つの典型的な誘導質問のタイプを確認しましょう。

①文脈効果(キャリーオーバー効果)

文脈効果とは、前の質問やその回答に、後の質問の回答が影響を受けてしまうことです。例えば、「あなたはA社が環境保護への取り組みに力を入れていると知っていましたか?」と聞いた後に、「あなたはA社に対してどのような印象を持っていますか?」と聞けば、文脈効果で好意的な回答が増えるでしょう。質問の順番を逆にしたり、間に別の質問を入れたりすることで、誘導を避けるようにしましょう。

②威光暗示効果(ハロー効果)

威光暗示効果とは、「東京大学教授の・・氏によれば、…」「OECDによれば、…」「一般的には、…」のように、専門家や世間の意見が事前に示されると、それらの意見を賛同する選択肢に回答が集中してしまうことです。回答者が他者の意見に惑わされないように、中立的な質問文を作成するようにしましょう。

③ステレオタイプ質問

ステレオタイプ質問とは、本来の意味とはほかに、特別なニュアンスを有する言葉を質問文に盛り込むことで、回答者が誘導されてしまう質問のことです。「天下りはなくすべきだと思いますか?」「政府は、ニートを生み出さないために積極的に対策すべきだと思いますか?」のように、「天下り」「ニート」といった、マスコミなどで否定的なニュアンスで使われている言葉を使ってしまうと、印象操作に繋がります。「国家公務員が外郭団体などの要職に再就職すること」「就学・就労・職業訓練に参加していない若者」などのように、特別な印象を与えない言葉に言い換えるようにしましょう。

回答者の黙従傾向を考慮する

アンケートの回答者には、どんな質問に対しても肯定的回答をする傾向(イエス・テンデンシー)があります。この傾向を抑えるためには、「はい・いいえ」ではなく、別の選択肢を設定することが有効です。例えば、「あなたは昨日8時間以上眠りましたか?」「はい・いいえ」だと、「はい」に回答が集中する傾向があります。「あなたの昨日の睡眠時間を教えてください。」「①5時間未満 ②5時間以上8時間未満 ③8時間以上」などとすることで、より正確な結果を得ることができるでしょう。

別のケースとして、回答者は「否定しがたい価値」に対して肯定的回答をする傾向を持ちます。例えば、「子どもの幸せのため、親は自分の時間を削るべきだと思いますか?」「被害者遺族の心理的苦痛を和らげるため、殺人罪に対して厳罰化すべきだと思いますか?」のように、否定しづらい価値が盛り込まれている質問では、肯定的な回答が多く集まりがちです。このようなバイアスのかかってしまう文言は避けるようにしましょう。

センシティブな質問に注意する

政治や宗教、犯罪歴、性行動のように、センシティブな内容の質問には無回答が増えやすくなります。回答者にとって不愉快な質問はアンケートに対する敵意を持たせてしまい、結果にも影響がでることが明らかになっています。ただし、調査の都合上センシティブな質問がどうしても必要な場合もあるでしょう。そのような場合は、質問文の内容に注意したり、質問文の配列に工夫を加えることで、回答者の心理的負担を軽減するようにしましょう。

結論

回答者に質問の意図を明確に理解した上で回答してもらうためには、質問文の作成の際に工夫が必要です。上記の留意点を確認し、適当な回答を得られる質問文作りを心がけましょう。



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