
商品の企画や販売戦略策定などのための手段として市場調査があります。この市場調査を担うのがリサーチ会社です。リサーチ会社は、クライアント企業の課題解決のため、様々な方法で調査や分析を行いますが、そのサービス内容はそれぞれ異なります。今回は、市場調査の見積もり依頼の際に、どのようなポイントをチェックしてリサーチ会社を選別すればいいのかをまとめます。
パネルとは、アンケートの回答者のことを言います。パネルを必要なサンプル数確保できるかは重要なポイントです。リサーチ会社各社はパネルの共有をしていることがあるため、そこまでサンプル規模の差がないことも多いですが、細かい差が発生します。大きなユーザー基盤を持つサービスとの提携や、パネルを持つ企業との契約状況(パネル開放度合など)によって変化するため、特にサンプル規模が重要な調査においては、毎回見積りを取るようにしましょう。「最大規模」と記載のあるパネルであっても、性別や居住地、年齢などでセグメントして分けた場合、お願いをする企業によってはサンプル数を十分に確保できない場合もあるからです。
必要なサンプルにリーチできるパネルであるかどうかも確認が必要です。パネルがどのように集められているのか、その属性、重複登録者の有無、悪質な回答をするパネル対策の有無をチェックし、自分の求めるリサーチと整合しているか確認しましょう。例えば、パネルによっては、カード会社や携帯会社との提携を通じてアンケートを打っているケースもあるのですが、その会社を通じて「利用しているカード」や「利用している携帯電話」を聞くと極端にバイアスがかかってしまうことがあるため、注意が必要です。
ツールに柔軟性のない企業であると、設計した形でのアンケートが難しい場合があります。自分が望んだ形でのアンケートができるかどうかも、リサーチ会社を選ぶ上で重要な視点となります。
ツールが、ユーザーにとって答えやすい形式であることも必要です。特に、モバイル対応の有無などは回収率にも影響します。
調査の規模や手法により、相場は大きく異なります。その中で、スクリーニングや本調査のコストが適正かどうかを確認する必要があります。この金額で、大きいときで最大4倍程度の差が出てしまうこともあります。予算内でクオリティの高い調査をするためにも、その会社の値段設定をよく吟味するようにしましょう。
リサーチサービスには、多様な解析方法や資料作成といった付帯サービスが充実した「従来型」とアンケートの設計作業・配信管理・集計分析を自分で行う「セルフ型」が存在します。セルフ型では、低コストで手軽にアンケート調査を行うことができます。従来型では、専門家のサポートのある分セルフ型よりも割高になります。調査の目的に合わせて、自分にあったものを選択した上で、付帯サービスのコストが適正であるか確認するようにしましょう。また、付帯サービスのコストは各社大きく異なることがあるため、特に大きな調査では相見積りを取ることが推奨されています。
想定通りの期間内に調査は終わるかも、評価のポイントの1つです。同じ調査方法であっても、リサーチ会社によって調査にかかる時間は異なります。調査会社のリソース次第では、会社間で数週間の差がでることがあるため、注意が必要です。
調査に対して、手厚いサポートがつくどうかも判断基準となります。企画段階から最終的なアウトプットまでどのくらいフォローがあるのか、業務のカバー範囲を確認した上で、会社ごとのサポートの質を比較して選択しましょう。
資料化の際に、ビジュアライゼーションが見やすく簡潔になるかどうかも確認しましょう。業界全体としてそこまで差は出ないものの、評価の指針の1つとなります。
担当者が調査の背景や制約を理解しているかどうかは、リサーチ会社を選ぶ上で肝になる部分です。調査というのはゴールではなく手段です。リサーチ会社が、調査結果を出すことをゴールとしてしまい、調査の本来の目的を意識していないと、調査の方向性がずれてしまう場合があります。依頼者側とは異なる、客観的な視点を持って課題を整理し提言することのできるリサーチ会社を選ぶようにしましょう。自分の調査目的に対して、柔軟な対応をできる会社が適切です。
数あるリサーチ会社の中から自分に合った会社を選択するためには、まず自身の行いたい調査の目的を明確にした上で、調査の品質やコスト、時間、提案力などを軸に評価するようにしましょう。適切なリサーチ会社を選ぶことによって、調査結果を最大限に活かすことができるでしょう。