PCとスマホ。同じようにオンラインで回答する形態であっても実は回答デバイスによって回答をやめてしまう指標である脱落率や回答内容に違いが出ることが明らかになっています。今回は研究論文や資料を用いて回答デバイスによってどのような違いがあるのか見ていきましょう。
日本マーケティングリサーチ業界の調べによると、2018年度の段階で既に10・20代は80%以上がスマホからの回答に移行しており、特に若年層に対するインターネット調査の主戦場はスマホとなっています。ここ5年間でネットリサーチパネルでのアクティブユーザー数は半分程度に規模が縮小しており回答が集めにくい状況となっています。少しでも回答の脱落を防ぐアンケートを設計することが限られたユーザーの中から声を集める上で重要になってきています。
スマホでの回答を想定する場合、質問数は短くあるべきです。
JMRAが2018年にスマホ・PCに分けてアンケート完了までにかかる時間の希望について聞いています。ここではスマホからの回答はPCと比較してコンパクトな調査を望んでいることが明らかになりました。資料では回答時間5分以内を希望するユーザーはスマホでは51%、PCでは45%と若干高い結果となりました。希望時間を10分以上希望する割合は30%と違いはありませんが、15分以上を希望する場合にはスマホでは21%、PCだと25%となって長時間回答を希望する割合も少ないことがわかります。
資料によると、特に質問形態には細心の注意を払う必要があるようです。
下の表はJMRA第19回総会にて公表されたGMOリサーチが行った調査を元に作った表とです。全19問の質問構成での回答開始から終了までの回答率を算出して表となっています。MAマトリクス(複数選択を用いて複数の質問について聞く質問形式)での脱落率つまり何%がこの質問で回答を止めてしまったかに注目すると、PCの3.4%に対してスマホでは9.6%と3倍近い脱落率を持つことからMAマトリクスによる質問はスマホでは極力避けるべき質問形態だとわかります。
また10%近くが脱落している事実も注目すべきでしょう。このアンケート全体を通じた脱落率が20%ですから半数近くがこの質問で脱落していることを考えると影響の大きさがさらに強調されます。MAマトリクスの質問表が横長のため、縦長画面のスマホでは回答に横スクロールを必要としている点が要因なのではないか、と挙げられています。同資料内では楽天リサーチが脱落した要因について集計した表も添付されています。質問全体を見てもややスマホでの離脱が大きいように見えますのでより一層配慮が必要とわかります。