
アンケートを実施する時に気をつけるべき点に、質問の聞き方が挙げられます。聞き方によって回答内容にどの様な傾向が出るのか用語やテクニックへの理解を深めましょう。
誘導質問とは、質問文の冒頭で条件を加えて作成者の意図に沿って質問回答を誘導しようとする事例です。具体例には以下のような質問が挙げられます。
仮に意図していなくてもこの様に聞いてしまうことも多くありあり、今回の質問では中学受験を否定的に考えた上での設問だと考えられます。質問する時には設問の表現にも配慮し、適宜中立的な立場の人の確認を通じて設問が正しく中立的に設計できているか常に注意する必要があります。
1つの質問の中で複数の質問を聞くことです。これは質問を複雑にして回答者の混乱を招いてしまうので避けるべきとされています。つい入れてしまう質問形式ですので質問票が完成したら一度確認する様にしてください。以下のような質問が挙げられます。
特に意見を聞く際に注意するべきポイントでしょう。パーソナルな質問とは個人的な事情を含めた質問であり、インパーソナルな質問はより一般論的な質問ですのでこの2つは区別して聴取する必要があります。
質問の表現によって回答すべき内容が異なり、必然的に結果も変わります。個人としての行動を聞いているのか一般的な考えに対しての意見を聞いているのか区別して聞きましょう。
社会的な倫理観が問われる質問では、社会的な圧力や常識を意識して本来の回答者の思想とは異なる結果を記入する可能性があります。匿名である点を強調したりこうした圧力を排除する工夫が必要になってきます。こうした質問をする場合には個人情報の機密性を強調するなどして十分な配慮をおこなうべきです。
専門用語や定義が曖昧なことについて質問する場合は定義を書いた上で質問しましょう。例えば「少額短期保険」という保険に関する調査では。以下の様に補足して回答者に質問を提供していました。
業界では当たり前の用語であっても消費者には聞きなれない言葉であることは必ずあります。一度アンケートが完成したら回答者の視点で質問が理解できるか再度見直しましょう。
人間がはい・いいえの二択に迫られた時にはい、を選択してしまう心理学的な潜在的傾向を知っておきましょう。このイエステンデンシー(acquisience bias) の影響を定量的に分析した研究の中でOrna(2010)は、低学歴・高齢になるほどこの傾向が強くなると分析しています。この傾向を排除して結果を見るためには逆転項目を入れることが有効とされています。逆転項目はアンケートでの回答におけるバイアスを排除するために頻繁に使われる手段なので是非頭に入れておくべきテクニックです。
例えば、逆転項目して先ほどの「あなたは家で食事をとることが多いですか」という質問に対しては以下のような設問が挙げられます。
「家では食事をしないですか?」といった否定文の質問だけではなく、間接的に逆の質問となるように設計することで回答者に違和感なくイエステンデンシー について検証できるでしょう。
認知とは必ずしも商品名でされている訳ではありません。例えば、歯磨き粉など一つブランド内で複数の消費が販売されている場合には消費者にとって名前は覚えずらいものになっている可能性があるため商品の画像添付が有効です。一方で画像を載せすぎてしまうとアンケートページが重くなり、画像だらけの回答画面ではスマホ回答者が嫌がってしまいます。調査会社の担当者と確認しながら商品の画像を掲載し、正確な認知を測るようにしましょう。
飲食物の摂取頻度など、定量的な聞き方ができる質問に関しては極力定量的な聞き方が望ましいでしょう。
といった質問は個人の基準によって「よく」の基準が大きく異なります。こうした質問に関しては
など定量的な尺度で質問設計をすることで個人の「よく飲む」頻度を統一しより正確な調査することができるでしょう。また、こうした定量的な尺度を設計する際には聞き漏れがない様に注意して設問を設計しましょう。
聞きたいテーマがあるとどうしても選択肢がそのジャンルに偏ってしまう傾向があります。選択肢が「もれなく、ダブりなく」設定されているかどうか確認してください。
動画配信プラットフォームでの調査について主力候補のみを記載しましたが大きく漏れがありように見られます。YouTubeやTikTok、今回の問題がネット動画配信ではないのでTV局も候補に入る可能性もあります。そして動画を視聴しない消費者もいますので、こうした選択肢も候補に入れるべきでしょう。「わからない」「その他」といった可能性も考えて何度も選択肢を確認しましょう。
多くの質問数を準備しているアンケートでは回答者に疲れが生じて回答が粗雑になり、設問文を十分に読まずに最初の選択肢を適当に選択してしまう回答者が一定数存在します。他にも設問の順番が回答内容に影響を与えることが確認されていますので、こうした影響を分散するためにもランダマイズは入れるようにしてください。より詳細な記事もございますのでそちらをご覧ください。