マーケティングリサーチに用いられると定性調査と定量調査の違いとは?得られる情報/データの特徴とその使い分けを解説

作成日:
2021-07-11
更新日:
2021-07-11
マーケティングリサーチに用いられると定性調査と定量調査の違いとは?得られる情報/データの特徴とその使い分けを解説

マーケティングリサーチに用いられると定性調査と定量調査の違いとは? 得られる情報/データの特徴とその使い分けを解説します。

定性調査と定量調査で得られる情報/データの違い

顧客の理解を深めるために行われる「定性調査」と「定量調査」の違いについて説明します。近年、商品/サービスの開発、改良のヒントを得るため、マーケティングリサーチや市場調査を通じて、顧客の声を聴くことが一般化して言います。これらの調査手法の理解を深めることで目的に沿った、効果的な調査を選択できるようになります。

定量調査とは

定量調査とはアンケートなどによって、数値化されたデータを収集、分析する調査手法のことです。一般にアンケートの回答結果から、明確な数値や量となって表される定量的なデータを取得する調査手法になります。

定性調査とは

定性調査では、定量調査とは違って、数値化できないデータ、すなわち顧客の生の声や行動を収集、分析する調査手法のことを指します。定量調査で得られるデータよりも、詳細な情報を取得できる調査手法になります。

定性調査と定量調査の使い分け

定量調査を活用する場面

定量調査で得られる分析結果は、多くの調査対象者から得た定量的なデータを根拠に結論づけるので、定性調査で得られる分析結果と比べて、客観的な説得力が高いです。したがって、市場の全体像を知りたいという場合のほか、仮説の検証をしたい場合にも実施されます。

定性調査を活用する場面

定性調査では、定量調査よりも、1人1人の調査対象者を詳細に深掘りできるので、顧客のことを深く理解したい場合に用いられます。具体的には、顧客が感じている、商品やサービスの課題の仮説を構築したり、定量調査で得られた回答に対して、その回答の理由や経緯などの心理的な側面を知りたい場合に実施されます。

定量、定性調査の両方を活用する場面

それぞれの活用場面から分かる通り、定量調査と定性調査は決して二者択一なものではなく、それぞれの長所を生かしてうまく組み合わせることが大切です。両方の調査を活用するパターンとして、主に以下の2つの流れがあります。

定性調査→定量調査

まずは定性調査を通じて、仮説を立案し定量調査で検証していくというパターンになります。

これは、商品/サービスの課題感や筋の良さそうなアイデアが思いついていない場合に、まずは定性調査を通じて着想を得、その後、定量調査で根拠づけるという流れになります。

定量調査→定性調査

次に、定量調査で顧客の全体像を可視化し、それをもとに定性調査で深掘りしていくというパターンもあります。

これは、すでにある程度の仮説が構築されており、その検証として定量調査を実施、さらに定量調査から一段踏み込んだ情報を定性調査で取得し、マーケティングにつなげていくという流れになります。

定量調査の分析/評価の特徴とメリット/デメリット、および注意点

ここからは各調査手法ごとにより深く解説します。

定量調査の分析/評価の特徴

上で記したように、定量調査は、多くの調査対象者から回答を取得し、客観的な数値としてデータを集計できます。したがって、新サービスが市場に受け入れられるかの確認といった仮説の検証や市場全体の動向の把握として用いられます。しかし、定量調査で得た情報は、定性調査と比べて、浅くなってしまう傾向があり、マーケティングアクションにつながるインサイトは得られにくいです。

定量調査のメリット/デメリット

定量調査のメリット/デメリットは以下の通りです。

メリット

・調査対象者の協力を得やすい

・客観的な事実として信頼性が高い

・統計的な分析ができる

定量調査で行われるアンケート調査では、回答の負担が軽いため、多くの対象者から回答を得られます。その結果、多くの回答者に裏付けされた信頼性の高いデータとして判断されたり、回答の結果を統計学的に分析することが可能になるといった利点があります。

デメリット

・何らかの行動の理由や経緯といった深掘りには向かない

・得られたデータの分析にスキルが求められる

アンケート調査では事前に設計された質問以外のことは聞けないため、調査対象者の深掘りには限界があります。また、得られたデータから何が言えるかについて、一定の知識、スキルが必要になります。差分が出たといえるようなデータでも、もしかしたら誤差といえる程度の差分である可能性もあります。

定量調査の実施時の注意点

定量調査では、調査対象者は一方的に回答するため、質問文の解釈に齟齬が出ないようにすること、設問に対して用意した選択肢に不備がないようにすることが必要になります。双方向のやり取りが可能な定性調査と違い、回答においてこのような問題があると修正しにくく、正しいデータが得られない可能性があります。

質問文の作成に関する詳細なポイントに関しては、こちらの「適切な回答を得られる質問文を作るための留意点」をご参照ください。

定量調査の種類

ネットリサーチ

定量調査の代表的な手法のうちの1つになります。一般的に、作成したアンケートをweb上で調査対象者に配信、回答してもらう形になります。スピーディーな調査を行うことが可能です。

会場調査

会場調査とは、調査対象者を会場に集め、商品やサービスを利用してもらい、その場でアンケートに回答してもらう調査手法になります。後述するホームユーステストと類似した調査ですが、調査対象者に同一条件で利用してもらえる、商品やサービスを厳重に管理することが特徴として挙げられます。

ホームユーステスト

会場調査と違い、調査対象者の自宅に、商品、サービスを送付(貸出)、利用してもらったのちに、アンケートに回答してもらう調査手法になります。上記の会場調査とは違い、商品、サービスの厳重な管理が必要ない、日常生活に近い中で、利用してもらいたいという場合に用いられます。

郵送調査

郵送調査とは、指定の住所にアンケートを郵送し、回答者は回答用紙に記入の上、返送してもらい回答を集める調査手法です。住所が分かっていれば実施できるため、自治体や、学校主体の場合によく用いられます。

定性調査の分析/評価の特徴とメリット/デメリット、および注意点

次に定性調査について、より詳細に解説します。

定性調査の分析/評価の特徴

定性調査では、一様に集計、数値化できない、経緯、理由などを深く掘り下げることができます。数名から多くて十数名の調査対象者に実施するため、データに対する信頼性は、定量調査と比べて劣ります。しかし、調査主体と調査対象者との双方向のやり取りを通じて、深く顧客を理解できます。

定性調査のメリット/デメリット

定性調査のメリット/デメリットは以下の通りです。

メリット

・行動の理由や深層心理を深掘りしやすい

・調査主体の予想だにしない発見が得られやすい

調査実施中のやり取りを通じて、気になった回答をピンポイントで質問したり、行動の経緯、理由を詳細に聞くことで顧客の心理を理解できます。またそういった柔軟なやり取りを聞いていく中で、思いもしなかったインサイトを得ることができます。

デメリット

・n数が少なくなる

・調査対象者の深掘りやインサイトを得るのに知識やスキルが求められる

定量調査に比べて、定性調査は調査対象者1人当たりの負担が大きいため、n数は少なくなります。また、調査対象者への質問の仕方によっては、誘導したような形で回答結果を得る形になってしまうため、正しく質問できなければ、顧客の本当の理解につながらないという懸念点もあります。

定性調査の実施時の注意点

定性調査では、調査対象者の経験や生活における行動にフォーカスして質問する必要があります。例えば、「健康には気をつけていますか?」という質問に対して、「はい」という答えが得られたとしても、実際の具体的な行動では、「健康には気をつけていながらもついつい甘いものを食べてしまう」ということもよく見られます。回答者の発言とその裏側にある考え、また、回答者の行動とその際の感情に注意して、質問することが重要です。

そのほか、より詳細な定量調査時の注意点に関しては、こちらの「新規事業開発/サービス改善におけるユーザーインタビューのtips」をご参照ください。

定性調査の種類

デプスインタビュー

デプスインタビューとは、インタビュアーと調査対象者が1対1で行うインタビュー形式になります。定性調査の中で最も代表的な調査手法の一つであり、対象者の深層心理を深く掘り下げることができます。

フォーカスグループインタビュー

フォーカスグループインタビューとは、モデレーターと呼ばれる進行役が調査対象者を5.6人集め、集団でインタビューを実施する手法です。デプスインタビューと同様、定性調査の代表的な手法になります。属性の近い、対象者を集団でインタビューすることで、お互いの発言を受けて対象者同士で意見が活発になりやすく、多くの意見を得られやすくなります。

エスノグラフィ

エスノグラフィとは、行動調査とも訳され、調査対象者の日常生活に同行し、その中で商品やサービスがどのように使われているかを調査することです。調査対象者自身の日常生活に同行し観察することで、無意識に行っている癖や特徴などから対象者自身も気づいていないインサイトを得ることができます。実際に同行する場合のほか、直接は同行せず、日常生活を録画し、それを視聴するという形で行われることもあります。

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