KPIツリーとは、組織やチームにおける最終目標(KGI)と、KGIを達成するまでの中間目標(KPI)の関係性を樹形図(=ロジックツリー)で可視化したのものを指します。
KPIツリーとは、組織やチームにおける最終目標(KGI)と、KGIを達成するまでの中間目標(KPI)の関係性を樹形図(=ロジックツリー)で可視化したのものを指します。
例えば、あるコンビニでの最終目標(KGI)を「○○円、売上を伸ばす」と設定したとしましょう。「売上up」達成のためには、「客数」か「客単価」を上げる必要があります。次に、「売上up」を「客数」と「客単価」に分解したように、客数と客単価をさらに分解していき、具体的な施策につながるまで細かくしていきます。今回は「客単価」を「平均の購入品数」と「1商品当たりの平均金額」に分解してみました。
このように最終目標(KGI)から分解されたものが中間目標(KPI)となります。
KPI ツリーを作成することで得られる主なメリットとして以下があげられます。
KPIツリーを作成することで、KGIは何か、そしてKGIを達成するためのKPIが一目で分かるようになります。上司が部下へ業務を振り分ける際、細分化された業務は部下から見ると「なぜこの業務が必要なのか?」と疑問に思うことも少なくありません。また、複数の業務をこなしている中で、自分で自分のやっている業務の目的を見失うこともあるかと思います。KPIツリーを用いることで、分担した業務の目的を見失うことを防ぐことができます。
KPIツリーを作成することで、KGI達成のため、何が問題となっているのかが明確になります。
例えば、コンビニで「売上○○円up」というKGIを達成するため、お客さんを集める施策をいくら考えたとしても、すでに、多くのお客さんが来店しているコンビニの場合、あまり適切な施策とは言えないかもしれません。一度、KGIを分解し、客数と客単価にわけることで、どちらが問題なのかをフラットに考えることができます
KGIを分解し、KPIを設定することで、一つ一つのKPIを達成するための施策を具体的に考えることができます。
コンビニの例を再び用いると、売上を客数と客単価に、さらに客数を「新規の顧客」と「既存の顧客(リピーター)」に、客単価を「平均の購入商品数」と「1商品当たりの平均金額」に分解することで、各KPIに対して、より具体的な施策を考えることができます。
各KPIに対して具体的な施策を考え、実施しているため、効果を検証する項目が明確になっています。その結果、本当に効果が出ているのか定期的に判断し、うまくいっていないようなら修正するということが容易になります。
例えば、平均の買上商品数を増やすために、3点以上購入で、ポイント還元という施策を行った場合、行う前と行った後でどれくらい買われる商品数が上がったのかを見ることで効果の有無を判断できます。
KPIツリーとは何か、KPIツリーのメリットを理解した後は、実際にどのようなツリーがあるのか具体例を確認しながら理解を深めていきましょう。
いずれも、KGIを売上の向上としたうえで、具体例を作成しました。
営業では、契約件数を契約までのプロセスに沿って分解することで、さらに具体的なKPIを設定しています。
ECサイトの場合、顧客がどのように流入してくるかを観点に客数の分解をすることでKPIを設定しています。
KGIとは、組織・チームの最終目標であるため、その組織・チームが目指しているものを設定しましょう。売上や利益、成約件数などがKGIとなることが多いですが、まれにKPIであるべき指標がKGIと設定されてしまっている場合もあるので注意が必要です。例えば、コンビニ一店舗はあくまで、売上や利益をどれくらい上げるかが重要であり、「客単価」を上げることがコンビニの最終目標であることは、ごく稀でしょう。
次に、KPIを設定する際の大まかなルールについて説明します。特に重要なもので、以下の3つのルールがあります。
・必ず定量的な指標を立てる
・抜けもれなく指標を作る
・定量的な結果がすぐ出る指標をツリーの後に設定する
KGIやKPIはもともと成果や施策の効果を判断するために設定されるものであるため、指標を見る人によって成果が出たといえるかの判断が異なってしまってはいけません。したがって、定量的な目標を設定し、それを上回ったか否かで判断できる状態が望ましいです。
KPIツリーは、KGIを分解し、複数の指標ができ、さらにそれらの指標を分解していくことを繰り返して作成されます。この際、分解した複数の指標が分解する前の指標と整合していなければなりません。
KGIに近い、上流の指標ほど、施策に対して結果が遅れてくるもの(遅行指標)を設定し、ツリーの後ろの下流の指標ほど結果がすぐ出る指標(先行指標)に設定しましょう。
上で記載した営業のKPIツリーの場合、商談数や契約件数といった売上に近い上流の指標ほど、結果が出るのが遅く、テレアポ数や飛び込み営業数はすぐに結果が出るように指標が設定されています。
次にKPIを設定する際によく見られる注意点として、以下の2点があります。
KPIの設定方法で説明したように、分解された複数の指標が分解前の指標と整合している必要があります。ツリーの枝葉の指標から計算していくと、最終的にKGIになるように、各指標の単位が、人なのか、円なのか、%なのか適切に設定されているか確認しましょう。
ここまで、KPIツリーの作成方法からその注意点まで説明してきました。しかし、初めから完璧なKPIツリーを作ろうと力を入れすぎないことも大切な心がけです。
KPIツリーのメリットとして、都度施策の効果検証して修正できる点を上げました。この修正とは、施策だけでなく、KPIツリー自体の修正も含まれています。
製造業のKPIツリーを例にとると、仕入れ先の数を増やし、総原材料を増加させることに成功しても、思うようにKGIにいい影響を与えない場合もあるでしょう。その場合、そもそもKGIの分解方法が適切ではなかったのかもしれません。その場合、KGIを違った指標に分解できないか修正することでブラッシュアップします。
最後にKPIツリー作成時のツールを紹介したいと思います。
もちろん、KPIツリーの目的はKGI、KPIの関係を一目で理解できるよう可視化することなので、それが満たされてさえいれば、どのようなツールを用いても問題ありません。
使い勝手のいいアプリを使用してみてください。
Miroは「オンラインホワイトボード」サービスを提供しており、Coggle同様、共同編集が可能です。ツリーの作成からメモ書きなど、汎用性の高いアプリとなっています。今回の記事に挿入している図は、Miro を用いて作成しました。
パワーポイントやエクセルには、SmartArt機能がついており、シンプルかつ直感的な操作で階層構造を作れます。本記事で用いられている、KPIツリーもこの機能を用いています。
Coggle(コグル)は、複数人での共有や共同編集機能がある点が特徴です。無料プランでも、基本的な機