アンケート調査における「標本調査」とは?その概要・例や全数調査との比較も踏まえて

作成日:
2024-06-10
更新日:
2024-06-10

アンケート調査では、データを収集する際に大きく「全数調査」と「標本調査」があります。それぞれの特性や実施方法を理解することで、目的に沿った正確な調査ができるようにしましょう。

標本調査とは(概要と例)

概要

標本調査とは、調査対象の母集団から抽出した一部に対して調査を行うことで母集団全体の傾向を推測するものです。この際調査対象となった一部のことを「標本」と呼びます。母集団全体の傾向を正確に把握するためにも、標本調査を行う際には母集団から偏りが生じないように抽出する必要があります。標本に偏りがあると、「標本誤差」が生じてしまい、母集団について正しい推測が行えません。

標本調査の例

一般的なアンケート調査等は標本調査を用いていることが大半です。アンケート集計では、限られた標本のデータから正確な結果を予測するために「ウェイトバック集計」を行うこともあります。「ウェイトバック集計」の詳細に関しては、「ウェイトバック集計のやり方~フォーマットも公開~」も参考にしてください。

全数調査とは(概要と例)

概要

全数調査は標本調査とは異なり、調査対象の母集団全体に対して調査を行います。全数調査では対象者全員のデータを集めるので、標本調査と比較して正確な集計結果が算出されます。つまり、「標本誤差」が生じません。

全数調査の例

代表的な全数調査の例は、国勢調査です。国調査は全国民を調査対象としているので、国内では最大の全数調査といえるでしょう。全数調査である国税調査では調査対象に偏りがないので、都道府県や年齢・性別といった詳細なセグメントごとの集計も算出可能になっています。

標本調査方法~調査対象(母集団)に合わせた適切な方法の選択~

有意抽出法

調査対象の母集団から、ある特徴や性質に基づいて標本が母集団を代表するように主観的に抽出を行うという方法です。主観的な抽出であるので、標本選定者の所有する情報に基づいたものとなり、実際の母集団とは傾向が一致しないという可能性があります。このため、データを統計的に分析することが困難です。

無作為抽出法

有意抽出法とは異なり、抽出した標本に主観や偏りが生じないようにした抽出方法を無作為抽出法といいます。無作為抽出法では、調査対象の母集団から標本をランダムに抽出します。一言に無作為抽出といってもその方法はいくつかあります。それらの方法を以下で説明していきます。

単純無作為抽出法

母集団の各要素に一連の番号を割り振り、乱数表を用いて得られた乱数に従って標本を抽出していく方法です。

系統抽出法

調査対象母集団の各要素に一連の番号を割り振り、乱数表から乱数を得る段階までは「単純無作為抽出法」を同じです。ただし、「系統抽出法」では最初に標本を抽出したら、その後は任意の等間隔で残りの標本を抽出していく方法です。

層化抽出法

母集団をある特徴・性質に基づいて層化、つまりグループに分解しておき、そのうえで各グループからランダムに標本を抽出していく方法です。

比例分配法

層化抽出法の中でも、各グループの含む要素の数に比例してそれぞれから抽出する標本の大きさを調整し、標本を抽出していく方法です。

集落抽出法

母集団を集落(小さな集団)にグループ分けした上で、それらの集落の中からランダムに調査の対象とする集落を抽出し、抽出されたそれぞれの集落について全数調査を行う方法です。

多段抽出法

母集団をグループ分けした上でランダムにグループを抽出し、抽出されたグループを再びさらに小さいグループに分けてランダムにグループを抽出するという過程を繰り返し、最終的にに抽出されたグループについてランダムに標本を抽出する方法です。

迅速な調査なら標本調査

標本調査のメリットは、全数調査と比べて時間・費用・労力をかけずに全体的な母集団の傾向を推測することができるという点です。全数調査は母集団の要素について全て調査しているのでデータの正確性は極めて高いですが、母集団が大きくなればなるほど迅速な調査が困難になるので適切な標本の抽出による標本調査が有効になるでしょう。

標本調査を行う際の注意点~誤差やサンプルサイズ~

標本誤差

標本調査を行う際には、母集団からランダムに標本を抽出しており、全要素について調査ができているわけではありません。そのため、抽出されなかった要素についてのデータが含まれていないことによって、全数調査を行った場合とのデータの乖離が生じてしまいます。標本調査を実施した際には、標本誤差が生じることを念頭において置く必要があります。

サンプルサイズ

標本の大きさのことです。標本の大きさとは標本内に含まれる要素の数のことで、標本数/サンプル数(抽出した標本の数)とは異なることに注意してください。全数調査と比べ、時間・費用・労力をかけずに調査ができる標本調査ですが、一定以上のサンプルサイズを確保しないと母集団中の要素の性質と乖離してしまうので、注意してください。

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