アンケートによっては自分の回答が全体の何割まで完了しているのかアンケート画面に表示してくれる機能があり、グーグルフォームなど一般的な調査フォームでも備わっています。ではアンケートをデザインする際に進捗インジケーターはどの様に利用するべきなのでしょうか。今回はインジケーターのアンケート上での効果、適切な利用法、ふさわしいUIなど包括的にご紹介します。
調査の結果によって、進捗インジケーターの有無が回答完了率に与える影響は異なっていましたが、進捗インジケータが回答者にとって回答に励みになるか、意欲を削ぐものかによって効用が異なることが明らかになってきています。インジケーターの示す割合が回答者の実感より早い場合には回答の励みとなり脱落を防ぐ一方で、実感よりも遅い場合には回答意欲を削ぎ脱落を促す効果があります。
Yan(2011)は所要時間を過大・過小に提示にした2種類のアンケートを作成し、それぞれにインジケータがあるもの/ないものを別途で配信しました。その結果、所要時間が過大に提示されたアンケートでは脱落率はインジケーターがある場合(16.3%)はインジケーターがない場合(12.1%)と比較して高い結果になりました。一方で、所要時間が過少に提示されたアンケートでは脱落率はインジケーターがある場合(12.1%)は、ない場合(8.2%)と比較して低い結果になっています。
短いアンケートでは利用するべきです。またページに応じて均一に移行するインジケーターの場合は回答時間のかかる自由回答形式の質問を最後に持ってきた上で利用するべきでしょう。
これは、回答者が序盤の質問を回答した結果とインジケーターの進捗度合いを比較することでアンケート回答全体にかかる負担感を予想し、回答を中止するか否かを判断する行動をとるからです。つまり序盤では極力簡易的な質問でインジケーターの進捗度合いを早め、回答者に「負担のかからないアンケートである」と認識してもらうことが重要です。また短いアンケートではインジーターが回答の割合に応じて大きく増加しますので回答者に負担がかからないと認知してもらうことで脱落率を防ぐことができるでしょう。
アカデミックにおいてはConrad et.al(2010)がどのようなインジケーターの増加だと離脱率が少ないか分析しています。
彼らは研究の中で「slow-fast」型と「fast-slow」型の2種類のインジケーターを用意して比較を行いました。「slow-fast」型は序盤ではゆっくりとインジケーターが進み、後半で早く進むように調節したもので「fast-slow」型はその逆の特性を持ったインジケーターです。その結果「fast-slow」型では被験者はアンケートの回答に要した時間を実際にかかった時間よりも短く回答し、アンケート回答の負担感が少ないことがわかっています。またインジケーターがない場合よりも回答を放棄する無回答率が低下していることからも「fast-slow」型のアンケートではインジケーターが有効にされていることがわかります。
実際にこのようなインジケーターを持つ偏ったアンケートを利用することは困難ですが、序盤に簡単な質問を挿入することで擬似的に序盤の回答速度を早めれば「fast-slow」型のアンケートを設計することができるのではないでしょうか。
実際にインジケーターはアンケート画面上において、どの様に配置すると効果的なのでしょうか。SurveyMonkey社の調査によると画面最下部に表示し、完了率を非表示化して視覚的効果のみで(進捗バーが満たれていく様子)で回答者に回答率を表示することでインジケーターの効果が安定し、脱落を防ぐ上で有効な機能となるとされています。