インターネット調査ではいつでも回答者が回答を中止できる状態のため、極力ストレスを排除してアンケートでの離脱を防ぐべきです。今回はそうしたアンケートにおいてストレスの原因となり、回答者に嫌われる質問をまとめてみました。
JMRAの2018年の資料では以下の様な結果となっています。最も高い割合で上位3つのうち2つは詳細に回答者の居場所を特定できる質問でした。また他にはメールや通話の発信履歴やウェブサイトの閲覧履歴といったオンライン上での行動履歴に関する情報も嫌われることがわかります。また利用するポイントサイトによってはこうしたプライバシーに関する質問が禁止されている場合もあります。
JMRA2018年度インターネット調査品質委員会資料より抜粋
質問文が長いアンケートは誰でも辟易してしまうものですから、極力シンプルに質問を書くべきです。マイクロソフトのカナダにおける調査では、平均的な集中力は8秒であると明らかになっています。日本語は1秒あたり10文字程度となっているようですから、8秒以内に読める80文字を目安に質問文を収めることが1つの指標となるようです。
画像や動画を含む質問は画像分の面積をデバイス上で占めてしまうため、縦にスクロールする必要が大きくなってしまいます。画像や動画は文章だけでは説明しにくい事柄を説明する際に有用ですが、多すぎる場合にはむしろ見づらくなってしまいますので調査担当者と相談しながら慎重に運用しましょう。
少なすぎる選択肢は回答者にとって不十分な選択肢になる一方で、多すぎる選択肢は逆に回答者に心理的な負担を強いるものになってしまいます。これは心理学における「選択的過負荷」と呼ばれる現象に関連し、オンラインショッピングでは多すぎる選択肢が提示されるとむしろ購買率が下がるといった現象に起因しています。Leonard et .al(2019)はアンケートにおいては6択以上の場合は選択肢の多さが持つ良い側面は見られなくなる、としています。選択肢は「モレなく、ダブりなく」作ることが前提ではありますが、選択肢が多すぎる場合には選択肢の抽象度をあげるなどし選択肢数を一ケタに収めるべきです。
聞く必要のない質問は当然避けるべきです。例えば前の質問で子どもの有無を問う質問があったにも関わらず、後続の質問で子どもがいない回答者に子どもの人数を聞く必要はありません。多くのアンケートツールでは条件分岐の設定ができますから、この機能を利用して回答者の手間となるような設問は避けるようにしましょう。
年齢や性別など一般的に聴取される質問に関しては必要ありませんが、特にプライバシーに関するセンシティブな質問をする場合には、アンケートの冒頭で事前に注意書きを入れて個人情報の機密性を説明した上でこれからプライバシーに関する質問があることに同意を得てからおこなうべきでしょう。