数千人に調査を行う定量調査とは異なり定性調査では多い場合でも10人程度のインタビューを実施することになりますが、その分一人当たりの探索コストがかかるためセグメント通りの対象者を正確にスクリーニングして見つけ出すことが大切です。今回は定性調査におけるスクリーニング質問に関するテクニックをご紹介します。
定性リクルーティングの質問構成の基本的な流れは年齢や性別などの基礎情報→インタビュー候補をあぶり出すためのスクリーニング質問→(スクリーニングを通過した場合のみ)個人情報の記入→日程の確認という流れとなります。
事前に詳細なアンケートのテーマを伝えてしまうと回答者はテーマから調査の目的を推測し、正しい回答を見越して事実と異なる回答をしてしまいます。ですから仮に「シリアル」に関するアンケートであれば「食事」といった様に抽象度を挙げてテーマを設定しましょう。
定性リクルーティング調査では多くの候補者を段階的に絞りこんで最終的な候補者を選出します。そのため年齢や性別といった基本的な確認事項を済ませたあとは回答者から正解が推測されにくい質問を入れて候補者を絞り込みましょう。例えばシリアルの新商品の開発に対してシリアルを朝の習慣として食べている消費者にインタビューをしたいとします。この時いきなりシリアルを食べる頻度を聞くと回答者は本当は食べていないのに頻度を多く偽ってしまう可能性があります。そこで、まずは朝食に何を食べるのかパン・ご飯・シリアル・そもそも食べないなどテーマを推察しにくく、嘘をつきにくい質問に設定してましょう。
定性リクルーティング調査での質問は本格的な定量的と比較して質問数が限られており、一つの問題でより効率的に絞り込むために単純な選択肢の質問は極力避けるべきです。特に「はい・いいえ」の二択で構成される質問には意味がないと思われますので避けましょう。
仮にシリアルを習慣的に食べているユーザーセグメントにインタビューを行う場合「習慣的」であることを証明する定義となる質問が重要です。例えば「習慣的」であれば「朝食を週に6回以上食べ」かつ「朝食で最も高い頻度で食べる主食がシリアル」といった定義を定めて質問の落とし込むべきです。
自由記述は定性リクルーティングにとって最も重要な要素であり、主に前問の選択肢を選んだ理由や背景など選択式の設問では聞ききれないより深い内容を問う場合が多いです。自由回答の内容通じて、回答者が本当に真実を述べているかの検証・選択式の設問では聞きにくいより深い内容の理解やトピックに関する関心度合いの測定・文量によってインタビューに対して誠実に対応して頂けるかの判断など多くの事柄を判断できるのです。
定性的な調査でも定量的なアンケートで用いるようなテクニックは重要です。質問の選択肢に漏れがないか、ダブりがないかや「よく・たまに」といった個人の価値観を反映した選択肢になっていないか、ランダマイズを入れているかなど基本的要素も忘れずにチェックしましょう。