質問の順番が回答に与える影響(キャリーオーバー効果)と対策

作成日:
2024-06-10
更新日:
2024-06-10

消費者調査では、質問設計の順序が結果に影響を与えるため十分な配慮が必要です。本記事では、設問の順番が回答にどの様な影響を与えるのか研究や事例を通じて解説します。

キャリーオーバー効果とは

キャリーオーバー効果は社会調査・心理学の分野において頻繁に語られる議論で、前の質問が後述の質問の回答結果に影響を与えてしまうという問題です。

具体的な例として以下の様な質問のセットが挙げられます。

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Q1あなたは中学受験が過度なストレスとして子どもの自己肯定感に悪影響を与えていることを知っていますか
はい/いいえ
Q2あなたは子どもは中学受験をするべきだと思いますか
やるべきではない/するべきだ
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Q1あなたは中学受験の経験が将来的に子どもの高収入に繋がることを知っていますか
はい/いいえ
Q2あなたは子どもは中学受験をするべきだと思いますか
やるべきではない/するべきだ
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実際にご自身が回答されてみれば、質問を提示された順番で結果が異なる可能性があるとイメージできると思います。これは極端な例ですが実際のアンケート調査では、調査テーマを絞って実施されることが多いことから連続して類似した設問が多く出される傾向にあり、キャリーオーバー効果は頻繁に発生していると考えられます。消費者心理を複数の評定尺度で計測する場合にキャリーオーバー効果は深刻な影響を与えるとされていますので細心の注意を払いましょう。

キャリーオーバー効果の対策方法

キャリーオーバー効果を排除する場合、質問する関連項目とは無関係な緩衝質問を挟むことが一般的に推奨されています。一方で緩衝質問によって本来関連性のある質問がバラバラに聞かれると質問票全体のまとまりに欠き、回答者にストレスを与える可能性が考えられますので、質問数が長く回答者にストレスを与えると考えられる場合にはサンプルを分割して別個のサンプルに調査するべきです。

特に認知度調査ではキャリーオーバー効果に注意

認知度調査には純粋想起・助成想起という二つの調査尺度があります。純粋想起調査とは手がかりなしにそのブランド名を思い出すことのできるかを測る調査で、例えば「洗剤といえば?」など漠然とした質問対する自由回答形式の質問が挙げられます。一方で助成想起調査は手がかりがある状態でのブランド認知を問う調査であり、例えば「あなたが以下のリストの中で知っている洗剤ブランドを選択してください」といった質問を指します。純粋想起は助成想起よりも強烈な認知を持つことを示す指標でこの二つの指標は広告効果の測定では大きな違いを持ちます。助成想起→純粋想起をおこなうと、助成想起で提示した設問が後の純粋想起に影響を与えて歪な回答になってしまいますので、こうした認知度調査では必ず純粋想起→助成想起の順番で問うことが鉄則となっています。

結論

質問を作る時のみならず、分析する時にもこうした効果を念頭に入れておくことで正しく結果を解釈できます。本記事では設問単位での順番の前後が回答結果にどのような影響を与えるのか解説しました。質問順の効果をしっかりと理解した上で今後の調査設計をおこないましょう。

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