エスノグラフィックリサーチは民族学・文化人類学者が用いる手法で、フィールドワークを通じて異民族の文化の行動様式を分析し、理解するというアプローチです。
近年では世の中の情報量や商品・サービス量は急激に増えており、消費者自身で自らの行動を説明することが難しくなってきています。このような背景から、生活者の潜在意識から生じる無意識的な行動を観察することで、潜在的なニーズを探索して仮説を立案する際にこの手法が用いられることが多くなっています。
対象者と商品・サービスの関係性や商品・サービスの使われる文脈から意味のある示唆を導出するために利用されます。
ターゲットユーザーの生活を観察することによって、生活者自身が気づいていないニーズや彼らの大切にしている価値観を知ることができ、それらをもとに新商品・新規サービス創出を図ることができます。
既存製品やサービスがユーザーの生活において実際にはどのように使われているか、対象ユーザー独自の使い方の工夫を観察することによって、商品の改善点やユーザーにとっての価値を発見することができます。
ユーザーは、自分のニーズを完璧に満たす商品が存在していない場合は、自分で工夫することでニーズを満たそうとする傾向が見られます。その工夫をベースに既存商品の改善や新商品の開発に役立てることができます。
ユーザーが特に不満を感じていないと発言していたとしても、何気ない行動・表現・環境には商品開発のヒントが隠されています。ユーザー自身が解決できないと諦めているような課題であっても、実は既存商品の利用もしくは新商品開発によって解決できる可能性があります。
平均的なユーザーだけではなく、エクストリームなユーザーも加えて観察することが重要です。
普段の生活シーンを観察することが目的であるため、できるだけその人が普段過ごしている環境で調査を実施することが重要となります。そのような環境で調査を実施したくないと対象者が申し出る場合には、その人が普段過ごしている街のカフェなどの限りなく慣れている環境や普段やっていることが思い出しやすい環境でインタビューすることが望ましいです。