コンセプトテスト (受容性調査) - 実施の目的や方法を事例と合わせてご紹介

コンセプトテスト (受容性調査)とは

コンセプトテストとは、新商品やリブランディングのアイディア案が複数ある際に、どの案が顧客に一番受け入れられるかを検証する調査方法です。通常の消費者の方にテスターとなってもらい、画像や文章、プロトタイプで表現したコンセプトへの反応を確認します。コンセプトテストは幅広い場面で活用することができ、製品コンセプトはもちろん、製品パッケージ/広告キャンペーン/企業ロゴ/ウェブサイトデザイン/ランディングページといった様々なコンテンツに適応可能であり万能といえる調査方法です。

コンセプトテストは商品を世に出す前にクイックに消費者の意見や反応を確認することができ、新商品開発やリブランディング、アプリのリニューアルの検証をクイックに素早く行うことができるのが強みです。


コンセプトテストがなぜ重要視されているか

コンセプトテストのメリット①:アイディアが失敗する確率を下げる

あるアイディアを新たに世に出す際、それが広告キャンペーンであれ、新商品であれ、本当に消費者に受け入れられるのかということを念頭に下記のことを検証する必要があります。

  • 今までの製品にないような新規性を持っているか
  • ただ目新しいだけでなく、顧客に対して価値を届けられるか
  • コンセプトはわかりやすく、心理的抵抗がないものか
  • 消費者はどのような要素を重要視しているのか

こういった項目は主観的な社内の議論の場でのみ議論するよりも、実際に消費者の方にコンセプトを試してもらい、その反応や好感度を見たほうが失敗の確率を下げることができます。

リブランディングが失敗した例

オレンジジュース飲料として有名なトロピカーナ(Tropicana)は2009年にリブランディングを行いました。従来のパッケージはオレンジに赤と白のストローが刺さったもので、一目見てオレンジジュースと分かるようなデザインでした。2009年のリブランディング後のパッケージは一見するとよりモダンでスタイリッシュな印象を受けるデザインです。しかし、このパッケージがのちに大きな失敗だったことがわかります。トロピカーナは3500万ドル以上をデザインとパッケージの宣伝に使いましたが、結果としてこのパッケージデザインは不評に終わり、クレームが絶えず、結局元のパッケージデザインに戻すこととなりました。このパッケージデザインに変更した後、1ヵ月で売上が2,000万ドルも減少しました。

この例からわかるように、新しいデザインや商品を市場に投入する際に、独善的な商品企画ではなく消費者の声を反映させることが必要です。いざ市場に投入されてからでは損失をカバーすることができず、事前段階でのテストで消費者の声を盛り込むことでこうした失敗を未然に防ぐことができます。

コンセプトテストのメリット②:社内の議論を円滑に進める材料になる

商品開発やリブランディングといった取り組みにおいて、議論の材料となる何らかの指標を持つことで議論が平行線になり難航するのを防ぐことができます。コンセプトテストではアイディア案ごとの新規性、共感性、魅力度、信頼度等を明らかにすることができ、テスト段階においても消費者の生の声を取り入れた指標を活用することができます。また、顧客が本当に求めているニーズをコンセプトテストで浮き彫りにしていくことで、消費者のインサイトをより取り入れたアイディアの改善作業を行うことができます。

コンセプトテスト(受容性調査)の調査方法

STEP1. ゴールの設定と調査設計

コンセプトテストがどのような目的で実施されるのかについて共通認識を共有することが前提となります。コンセプト設計では多様なアイデアの中から、最も消費者に魅力的、つまり斬新で買いたくなる様なアイデアを見つけ出すことが目的となります。調査の背景・課題を整理して調査の目的化を明確化したのち、下記の項目ごとに設計を進めていきます。

  • 調査対象者
  • 調査方法
  • 調査内容
  • 必要サンプル数

特に、調査目的に応じてターゲット(調査目的)を明確に定義する必要があります。基礎属性や行動履歴、指向性といった様々な観点から調査対象者を条件づけることが可能である分、どういった人から情報をとれば調査の目的が達成できるかに適宜立ち返ることが重要です。

下記スライドはQuest Researchのコンセプト調査における設計フェーズにおけるキースライドです。下記のスライドに沿って、要件の整理と設計を進めていきます。

STEP2. コンセプトリストの作成

テスターとなる消費者に提示するためのコンセプトリストを作成します。テストしたいコンテンツ(新商品・サービス、パッケージデザイン、広告コンテンツ、ウェブサイトデザイン等)であったり、コンセプトテストをする目的(初期段階で荒くアイディアを選別したい、複数あるプロトタイプから最終的な商品化に至るものを決めたい等)によって作成するコンセプトリストを変化させる必要があるため注意が必要です。

画像や動画、デザインのテストの場合であれば単にデザイン物やウェブページのプロトタイプを複数用意して反応を見るだけでも良い調査と検証が行えますが、より複雑な新商品のアイディア案をテストする際にはコンセプトの内容が正確に伝わるように注意が必要です。一般に、新商品のコンセプトリストに含めることが推奨される項目は下記の通りです。

インサイト(ニーズ)

消費者でさえも気づいていないような購買の原因となるニーズを指します。消費者が「ああ、こういう問題確かに困っている!」「そうそう、確かにこういうものがあったら便利だな!」と思うような困りごと、価値を指します。インサイトを発見することで今まで解決されていなかったニーズを対象にできるため、潜在的なビジネスチャンスを秘めています。
インサイトを意図的に明示させない方法もあります。コンセプトを通じてインサイトに自発的に気付いてもらった場合、顧客がコンセプトの内容を理解し自分事としてとらえることができた証拠です。そのため、理想的なコンセプトテストに近い可能性が指摘されています。

ベネフィット

顧客のインサイトを解決するような直接的な手段であり、競合との違いを決定づけて、顧客へ提供する価値を明らかにするものです。有名なドリルの例では、ドリルを購入する人が必要としているものはドリル機器そのものではなく、それによって空けられた穴であるといったものです。穴を空けたいという消費者の需要をドリルという手段によって解決している、ということになります。

ベネフィットを裏付ける根拠

なぜそのベネフィットを生むことができるかについて、商品の特徴や詳細を記述します。その他にも価格設定や内容量といったものについて記載する場合もあります。

商品案を表すイメージ・プロトタイプ

文章や文字だけでなく、実際に商品がどのような形で利用できるかのイメージを持たせるためにも、画像は有効な表現方法です。

STEP3. 分析軸の設定

コンセプトリストが完成し多次のステップは、作成したコンセプトをどのような観点で評価してもらうかを決めることです。以下は一般的な新商品開発のコンセプトテストで使われる評価軸の例です。

  • 新規性「この製品は市場の製品と比較してどの程度新しさを感じましたか」:新商品開発では新規性が重要な評価基準です。新しさや独自性が競合の製品との差別化ポイントになり、消費者に対して新しい価値を生んでいるかどうかを検証することができます。
  • 興味関心「この製品にどの程度関心がありますか」:興味関心は新規性とは異なります。仮に新規性が高くても関心が低い場合にはただ単に奇抜なだけで需要が低いことが推測され、顧客のインサイトには刺さらないことを示唆しています。
  • 信頼度「この製品をどの程度信頼できますか」:このスコアと理解度が低い場合にはコンセプトの精緻化が必要となります。非現実的な説明であったり、顧客のベネフィットを裏付ける根拠に妥当性がない可能性があります。
  • 理解度「この製品の機能をどの程度理解できますか」:信頼度と同様にこのスコアが低い場合はコンセプトの精緻化が必要となります。必要以上に難しい単語や専門用語を使っていないか見直すことで改善が期待されます。
  • 購買意欲「この製品をどの程度買ってみたいと思いますか」:購買意欲は新規性と負の相関関係になることが多いです。購買意欲も高く、新規性も高いようなコンセプト案は投資の価値ありと判断できます。
  • 自由記述「気になった点・気に入らない点、想定される利用シーン等」

新商品開発以外の目的でコンセプトテスト行う場合には、適宜評価基準を見直したり新たに追加したりすることが推奨されます。

STEP4. 分析

分析ステップでは、それぞれのコンセプト案が各評価基準でどのように消費者に評価されたかを可視化することから始めます。全体として一番購買意欲と新規性が高くなっているコンセプト案は”消費者に刺さる”アイディアといえるでしょう。マトリクス図を用いてコンセプト案を整理するのもよい手法です。さらに、性別・年代や対象商材購入頻度といった基礎属性のグループごとに評価が高いコンセプト案の違いを見ることも有効です。全体としては低い購買意欲でも、自社が対象とするセグメントにおいて購買意欲が高ければ十分採用するための判断材料となります。

コンセプト案の各要素・スペックを組み替えて、どのアイディアの組み合わせが最も反応が良いかを確かめるにはコンジョイント分析(コンジョイント分析について詳しくはこちらをご覧くさい)が有効です。価格やコア機能、サブ機能といったスペックの組み合わせとして最も受容性が高いものを計量的に計算する手法です。

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