コンジョイント分析は、商品やサービスの企画を考える際に用いられる分析手法です。商品やサービスには、属性や水準と呼ばれる様々な構成要素(ex: 価格、色、性能、機能、デザイン、等)とその具体値(○○円、赤、等)があり、消費者は何かの商品・サービスを購入する際に、各々の属性・水準から全体的な商品・サービスの評価を下します。コンジョイント分析を用いることで、消費者が最も選好するような属性・水準の組み合わせを算出できます。また、それぞれの属性・水準が購買活動に与える影響の度合いを定量的に算出することができるので、様々な組み合わせをシミュレーションし、市場理解を深めることにも繋がります。
コンジョイント分析では、対象となる商品やサービスについて回答者に複数の組み合わせのパターンを提示し、各々について評価をしてもらいます。この評価をもとに各要素についての全体の評価に対する影響の度合いを算出していきます。
以下では、各用語に対して詳しい説明を加えています。
回答者に提示する商品・サービスのプロファイルです。プロファイル間で要素の偏りがないように複数用意し、回答者に評価してもらいます。
図1
※ 図1でのコンジョイントカードの水準の値は現実に利用されるものとは異なります
:コンジョイントカードを作成する際に、商品・サービスの属性が増えるほどその組み合わせの場合の数は増えていきます。例えば、3つの属性について検討し、属性それぞれについて2通りの水準があるとすると場合の数は2×2×2=8となります。これ以上に属性が増えていくと、全ての組み合わせについて評価をしていくことは非効率的になります。そこで組み合わせをあらかじめ絞る必要がありますが、この際用いるのが「直交表」です。直交法は実験計画法でする配列表で、この行数がコンジョイントカードの枚数となります。直交表を利用することで、例えば上記のようにコンジョイントカードが8通り考えられる時、実際には直交表で算出された4通りについて評価をすれば全体の結果を反映できます。
直交表には種類があり、属性や水準の数が求めたいものと一致する型を探し、項目を置き換えることで求められます。以下の図2は、上記の図1について求めたものです。L423 型の直交表を使用しています。
図2
コンジョイントカードを回答者に評価してもらう際に、いくつかの評価方法が考えられます。
商品・サービス全体の総合的な評価のことです。
各属性について、それぞれの水準が与える影響の度合いを表しています。つまり、商品・サービスの各水準における効用です。
部分効用値を算出する際には、エクセルの「分析ツール」で求めることが可能です。
以下で簡単な作業の流れを説明します。下記の「コンジョイント分析の活用事例」を合わせて参考 にしてください。
部分効用値の最大値と最小値の差の絶対値のことです。
各属性のレンジが、レンジの合計値に占める割合のことです。重要度が大きいほど、その属性が消費者の行動に与える影響が大きいということになります。
図2について、回答者から評価をもらったとし、その得点を表に記載しました (得点の値は仮定です). 表中の値について、ダミー変数に変換しました。
「分析ツール」の「回帰分析」を選択します。.入力Y範囲にE列、入力X範囲にB, C, D列を選択すると、以下のような結果が表示されました。
「価格」の回帰係数は1.25、「色」の回帰係数は0.5、「デザイン」の回帰係数は1とわかりました。また、重決定係数R2(0.0~1.0で表記)という値に注目すると1となっています。これは分析精度が高いことを表しています。(決定係数≧0.8の時、精度は高い)
以上の値から、部分効用値と重要度を算出しました。
このようにして、ある商品を企画している企業は「色」「デザイン」と比較して「価格」を重視する必要があるとわかりました。
今回のコンジョイント分析では4つの組み合わせについてのみ得点を出しましたが、部分効用値の結果と全回答者の得点の平均を用いることで任意の組み合わせの得点についても算出することができます。(任意の属性・水準の効用値の合計+全回答者の得点の平均=任意の組み合わせの得点)