株式会社 Quest 利用事例

東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター様 実施事例

インクルージョン浸透度の測定手法開発でクエストを利用

この度、 Quest では定量調査をご依頼いただいた東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター(以下、東京大学CBFE)へのインタビューを実施させていただきました。

東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター

東京大学CBFEは、「バリアフリーシステムのあり方について学問的な体系化を図るとともに、バリアフリーに深い理解を持つ人材を育成する」という東京大学の基本目標に即して2009年に組織化され、教育をバリアフリーの観点から見直すとともに、バリアフリーを教育研究の領域において推進するという二つの軸を持って活動を行っておられます。

今回のインタビューに応じてくださったのは、東京大学CBFEで活動されている東京大学大学院教育学研究科総合教育科学専攻教育心理学コースM2の野村梨世さんです。野村さんはD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の研究をされており、東京大学CBFEのプロジェクト内でインクルージョンが企業において浸透しているかどうかを判断する尺度を作成するためのリサーチを実施する際に Quest をお選びいただきました。

D&Iに関心を抱く野村さん

ー この度はインタビューのご対応いただき、ありがとうございます!それでは、早速野村さんが研究されているD&Iというテーマについて簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか。

野村さん:ダイバーシティとは、性別などの表層的多様性はさることながら、可視化されない価値観の違いなどの深層的多様性をも含みます。これは社会的事実として存在していると思います。さらに、これらの多様性がただ存在するだけでなく、価値あるものとして認め、受け容れて、個々が持つ経験や強みを活かしあえることがインクルージョンです。ダイバーシティとインクルージョンが両輪の関係として成立することが重要です。


ー 普段生活している中でD&Iという言葉はあまり聞きませんが、野村さんは何をきっかけにD&Iへのご興味を持たれたのでしょうか。

野村さん:私は元々社会的マイノリティとされる層のなかでも、自分のアイデンティティと重なる女性に関心がありました。

自分の信念として、社会的にマイノリティと認知される人々は保護されたり、排除されたりなど他者によって人生が左右されるように見えるけれども、本来は、自らの能力で、自分の人生をポジティブに動かせる強い可能性を秘めていると考えています。

そして、女性については、本来なら企業組織の上位職で活躍し、経済力を持ち、自分の人生に関する意思決定の自由度が高い女性がもっと世の中にいてもいいはずだと感じており、女性の経済的なエンパワーメントに関する支援をしたいと漠然と考えていました。

そのような想いを起点として、学部時代にG20(20カ国・地域首脳連合)に対してジェンダー平等の観点で政策提言を行うW20でインターンをしました。

振り返れば、D&Iへの関心は以前から潜在的に持っていたのですが、結果的にはW20の日本の運営組織の事務局長であった塚原月子さんとの出会いが、私の関心を顕在化し、積極的にD&Iに関わるようになった最大の契機となりました。塚原さんはD&Iの世界的なNPOのアドバイザーを務めており、ご自身でもD&Iのコンサルティング業務や調査を行う企業を経営されていました。国内外で官民を巻き込みながら仕事をし、家庭ではお子さんに愛情を注ぐ彼女は、私にとって完璧なロールモデルでした。できる限り学生生活の多くの時間を彼女のもとで過ごしたいと考え、彼女の会社でアルバイトをするようになりました。D&Iの業務に関わるうちに、間接的にマイノリティ個人の潜在能力を高く評価するD&Iの姿勢が自分の信念と一致していることに気づき、アルバイトだけでなく自ら主体となる形でD&Iに関わりたいと思うようになりました。


ー W20でのインターン、そして塚原さんの下でのアルバイト経験からD&Iについて興味を持ち、学ばれていったんですね。その後大学院に進学してD&Iを研究しようと考えた決め手は何だったのでしょうか。

野村さん:D&Iに対して様々な関わり方が存在するなかで、私が研究というアプローチをとったのは、目先の利害に振り回されず、D&Iを追究できると考えたからです。D&Iは重要という認識は社会で広がっていますが、経済効果という面では低く見積もられているかもしれません。その結果、企業組織でのD&I、特にインクルージョンに関して実現への意欲は日本全体としてあまり高くないように感じます。研究には市場ニーズを気にしなくても人々にとって価値があるものを追究できる性質があると思います。さらに、こうしたインセンティブに囚われない結果、トライアンドエラーが何度か起こっても許されると思います。以上より、研究というアプローチは良さそうだと思いました。

「日本企業にインクルージョンを普及させていきたい」

ー いい出会いですね!そのような経緯でD&Iを研究されることになった野村さんは現在どのような研究をされているのでしょうか。

野村さん:東京大学CBFEにおける企業組織のインクルージョンに関するプロジェクトについてお話しすると、弊プロジェクトは企業組織のインクルージョンの尺度作成とインクルージョンに資する効果的な介入手法の開発の二本柱で構成されており、私は主にインクルージョンの実態を明らかにする尺度作成を担当しています。

弊プロジェクトではインクルージョンのための鍵として、問題の原因をマジョリティ中心に設定された社会の側に求め、そうした社会のゆがみや偏りを発見・是正していくことを重視する「社会モデル」の考え方をベースにしているんですが、作成している尺度も企業組織内に存在するゆがみや偏りを可視化する役割を果たすことができるものになっています。実際に、この尺度は弊プロジェクトが実施する研修の効果の測定にも利用する予定です。

一般に私自身を含めて多くの人は、日常場面で個人モデル(マイノリティが経験する不利や困難の原因を、マイノリティの内部の特徴に帰属する方法論)に従った認知をするほうがむしろ普通かもしれません。自分はうまくいっているのに、他者がうまくできないようなことがあると、「なんでこの人は自分と同じようにできないのだろう。この人のやり方に問題があるんじゃないか」と思ってしまうことは往々にしてあると思います。そこであえて、「そもそも社会の構造に問題があるのではないか」と考える社会モデルの立場から尺度を作成することで、多くの人が思いつかなかったようなブレイクスルーが起こるのではないかと期待しています。


ー 社会の構造から変えていこうというのはとてもダイナミックで面白いアプローチですね!そもそもそういう尺度って日本にはなかったのでしょうか。

野村さん:日本にはあまり存在していなかったんですよね…。アメリカを中心に尺度の事例はあったのですが、年功序列といった日本独自の企業風土に合わせた尺度はまだなかったこともあり、今回私たちが取り組むことになりました。企業組織の方へのインタビューの他、 Quest さんの定量調査のサービス等を用いて日本における妥当性を確かめながら、独自の尺度を作成しています。


ー なるほど!日本初の取り組みに挑戦されているんですね。今後その研究はどのように発展していく予定なのでしょうか。

野村さん:まずは我々が研修の実施にあたって、企業組織のインクルージョンの進度を測定し、問題の所在を把握するツールとして利用していきたいです。これまで学校や行政を含め、インクルージョンを目的とした研修自体は行われていたんですが、今回の尺度を用いて、変えていくべき社会の側の問題をきちんと特定することで、より効果的なインクルージョン研修を日本企業に広めていくことが可能になると思っています。

また、今回作成した尺度は日本企業の風土に合わせており、インクルーシブな環境の測定ができるので、我々に限らず、現在企業で盛んに行われているD&I研修の効果検証にも応用できると思います。その実現のためにも、作成している尺度を権威ある論文に掲載する準備もしていきたいです。

研究実践の主な対象を教育機関としてきた東大CBFEにとって、企業組織を対象とする弊プロジェクトは新奇性に満ちたものですし、研究の発展可能性は以上で述べたことに留まらないと思っています。


Quest の定量調査サービスの価値はスピードと質の高さ

ー Quest に調査を依頼してみて、特に印象に残っていることはありますか。

野村さん: Quest さんの定量調査のサービスを利用してとても印象に残っているのは、調査スピードの速さと調査の質の高さですね。調査スピードについては、まず連休中に依頼したにもかかわらず、すぐに最速の想定日数と料金の見積もりが来たのがよかったですね。他社では連休明けまで返事が来なかったり、調査の想定日数が2週間程度かかるとのことで思ったよりも遅かったりしたので。結果的に、 Quest さんの依頼フォームからご依頼させて頂いてからデータの納品に至るまで、他社が2週間程かかるのに対して Quest さんは1週間程でした。弊プロジェクトは、大学以外の機関の方とも連携して進めている性質上、想定外かつ急ぎの調査が入ることがあります。今回の依頼もそういった状況下だったわけですが、タイムラグが一切なく、プロジェクトを進めることができました。

あと、質の高さの観点からは、納品されたローデータが大量にあったのですが、それらをグラフ化しさらにその中から見たいグラフだけをクリックひとつで表示させる機能があるツールを共有頂き、それがとても便利でした。また、対象者の絞り込みやフェイスシートの項目を適切に準備しなければ、集めたいデータや結果を見れないこともしばしばあります。こうした点は、依頼主が考えて、調査会社はそれらをそのまま調査フォームに反映するだけというのが基本的な流れかと思います。一方、 Quest さんに依頼させて頂いた際には、担当者の方が調査の目的について丁寧に聞いてくださった上で予算内でフェイスシートの項目を増やすことを提案してくださったり、対象者もただマニュアル通りに取捨選択するのではなく、口頭で話し合った上で提案してくださりました。今までは調査会社に依頼した際には、マニュアルで書かれている情報のみに基づいて対応頂くのが普通だったので、驚きでした。

スピード感や質については、調査を設計した自分たちの手で質問紙を配布するときの安心感を担保して頂いたことはさることながら、期待以上のサービスでした。 Quest さんに依頼して本当に良かったです。


ー ご満足のいく調査のお手伝いが出来て、弊社として嬉しく思います!この度はインタビューを引き受けていただき、ありがとうございました。今後も弊社として野村さんや東京大学CBFEの取り組みを是非サポートさせていただきたいと存じます!


参考・関連情報

東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター

東京大学CBFEは、「バリアフリーシステムのあり方について学問的な体系化を図るとともに、バリアフリーに深い理解を持つ人材を育成する」という東京大学の基本目標に即して2009年に組織化され、教育をバリアフリーの観点から見直すとともに、バリアフリーを教育研究の領域において推進するという二つの軸を持って活動を行っておられます。

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